要 旨 慢性的便秘で乾燥皮膚を有する 20歳~ 39歳までの女性 56名を 2群に分け,LB81乳酸菌(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus 2038株ならびにStreptococcus thermophilus 1131株)を使用したヨーグルトあるいはこれに
コラーゲンペプチド(CP)ならびにセラミド(CE)を配合したヨーグルトをそれぞれ120 mlずつ1日2回,4週間摂取さ
せた.摂取前後の比較で,両群ともに皮膚の弾力性,乾燥および鱗屑の程度が改善された.CP・CE含有ヨーグルト摂取
群ではキメ密度が有意に改善された.肌状態に関するアンケート調査(19項目)では,両群とも多くの項目で改善がみら
れた.両群ともに便秘の症状が有意に改善されたことから,本結果にヨーグルトの整腸作用が関与している可能性が考え
られた.
考 察
本報告は,これまで伝承的であったヨーグルトの美容
効果を科学的に検証したものである.
LB81乳酸菌を使用したヨーグルトの整腸作用に関し
てはこれまでにいくつかの報告がある.本乳酸菌を用い
て調製したヨーグルト130 gを9名の高齢者が1日2回,
2週間摂取した際に,糞便臭気の改善が認められ,ビフ
ィズス菌数が有意に増加した.糞便中のアンモニアは有
意に低下し,その他のp-クレゾール,インドール,スカ
トール等の腐敗産物量も低下傾向を示した.さらに,ヨ
ーグルトの摂取により糞便pHの低下が認められた(4).
また,便秘気味(排便回数が週4回以下)の女子大生36
名が,本乳酸菌を用いて調製したヨーグルト100 gを1
日1回,2週間摂取した結果,ヨーグルト摂取中は,摂
取前と摂取終了2週間後に比較して,有意な排便回数の
増加が認められた(6).
本ヒト評価試験では,上記のLB81乳酸菌を使用して
調製したヨーグルトを試験食とした.また,コラーゲン
ペプチドならびにセラミドを添加した同様のヨーグルト
も併せて供試した.両者とも美容食品素材としてよく知 られているものであるが,経口摂取により皮膚の水分保
持能の向上等が報告されている(3, 5).
本試験において,両群とも便秘が有意に改善されてい
たことから,皮膚機能改善作用にはヨーグルトの整腸作
用が関与している可能性が考えられた.Araらは,健康
な女性における便秘(1週間当たりの排便日数)と肌荒
れ(皮疹,紅斑,落屑の程度を指標)との因果関係に関
する調査を行っており,毎日排便が有る群に比べ,1週
間に4日以下しか排便がない群においては有意に 瘡が
増加していることを明らかにしている(1).詳細なメ
カニズムは明らかではないが,腸内環境が悪化すると腸
内細菌の産生する腐敗産物等の腸内有害物質の産生が増
加し,これが皮膚機能を悪化させる一因となっているこ
とが推察される.したがって,ヨーグルトを摂取するこ
とで腸内フローラのバランスを改善することは,皮膚機
能を改善するための有効な手段の一つとなりうると考え
られる.また,CP・CE含有ヨーグルト群においては,
一部の検査項目においてヨーグルト群より良好な改善効
果が得られており,これらの成分の添加は皮膚機能改善
効果の向上につながると考えられた.
今回の試験においては,ヨーグルト全体としての皮膚
機能改善効果の検証を行った.ヨーグルトの整腸作用お
よび皮膚機能改善作用の関与成分は,乳酸菌,乳酸菌の
代謝産物,乳成分など複数考えられることから,今後は,
プラセボ群を含めた群間比較試験等により,各成分の寄
与率の検証を行うとともに,皮膚機能改善作用の実際的
なメカニズムについても検討を加える予定である.
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